耐火構造と準耐火構造の違い

<耐火構造と準耐火構造の違い>

柱や壁など各主要構造部の耐火構造や防火構造などの構造方法がどのように規定されているかは〈各主要構造部の構造方法〉で解説しましたが,耐火構造と準耐火構造の違いについて補足説明します。準耐火構造は基本は45分の性能ですが大規模木造の場合は令第129条の2の3が適用されて1時間となります。耐火構造にも1時間のものがあって,1時間耐火構造と1時間準耐火構造はどう違うのでしょうか。

耐火構造と準耐火構造が目指すべき目標と性能に関する技術的規準を一覧表にすると次の通りです。

用語の定義(目指すべき目標) 性能に関する技術的規準
耐火構造 法第2条第7号:

通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために必要とする性能を持つこと

令第107条:

通常の火災による火熱が○時間加えられた場合に,構造耐力上支障のある変形,溶融,破壊その他の損傷を生じないもの

準耐火構造 法第2条第7号の2:

通常の火災による延焼を抑制するために必要とされる性能を持つこと

令第107条の2:

通常の火災による火熱が加えられた場合に,加熱開始後○時間構造耐力上支障のある変形,溶融,破壊その他の損傷を生じないもの

上記の「○時間」と書いてるところには,耐火構造では,1時間,2時間,3時間など,準耐火構造では,45分,1時間などが入ります。

法第2条が用語の定義で目指すべき目標が書いてあります。耐火では「倒壊及び延焼を防止する」で,準耐火では「延焼を抑制する」です。準耐火には倒壊が入っていませんし,「防止する」と「抑制する」では,「抑制する」の方が弱いですね。

「耐火構造と準耐火構造の違いは?」という問いの一つ目の答えとして,目標としたものが違う,つまり,「準耐火構造は抑制まででしかない」があげられます。

しかし,「目指すべき目標」の部分は「法がそのように定めた」というだけで,規制条文としては有効ではありません。規制条文として有効なのは「性能に関する技術的規準」の部分です。

準耐火構造では,加熱開始の1時間後に変形などの損傷が生じていなければいいのです。一方の耐火構造は,「火熱を1時間加えた場合に」と規定してあって,それは「1時間炎で炙って,火を消した後も変形が生じてはいけない」という意味です。

つまり,「耐火構造と準耐火構造の違いは?」の真の答えは,「準耐火構造は,火熱を加える一定時間を耐えればその後は燃えてしまってもいいのに対して,耐火構造では,火熱を止めたのちもその状態を維持していなければいけないことの違い」です。

耐火・防火の基準に対する考え方が国土交通省から示されています。参考になります。

防耐火に係る基準・資料の素案

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