清田区里塚地区の液状化の原因についての考察【続編・札幌市資料を見て】2

里塚のこの場所がなぜ大規模に液状化したのか

私が知りたいのは「里塚のこの場所がなぜ大規模に液状化したのか」です。そのことが札幌市の検討会ではどのように議論されたのでしょうか。いえいえ,それが,液状化する条件,つまり,砂質土であること,地中水位が高いこと,地震波についてなどは議論されているのですけど,なぜこの場所がその条件にぴたりと当てはまるところだったのかは,あまり議論されていないのです。札幌市の議論は大規模な液状化が発生した事象を受けて,この団地を安定化させるための対応手法を検討することに主眼がありますから,「なぜこの場所が」というところを深くは議論していないのです。

そこで,札幌市が公開してくださっている資料から,私なりにその理由を想像してみます。

注目したのは,造成前の地形,造成前の三里川の位置と造成されて暗渠化された三里川ボックスの位置関係,造成による盛り土の範囲,盛り土の性状,地中水位などです。

まず,造成前の地形,造成による盛り土の範囲,液状化した範囲を見てみましょう。

造成前の地形は,

図02造成前航空写真

です。そして,造成後の地図と盛り土の範囲は,

図03盛り土範囲

です。そして,液状化した範囲は,

図04液状化範囲
図05沈下量・範囲

です。

団地造成で盛り土されたところは,造成前航空写真の段丘部と低地部とその少し北西側の辺りです。三里川が南西側から北東側へ流れる谷筋で,南東側の尾根部を削って盛り土したものです。高いところを削って低いところを埋め立てる,どこにでもある造成工事ですけど,この場所で特有のことは,谷に川が流れていて,その川はさらに上流(南西側)から流れてくるもので,造成する直前において上流側も下流側も盛り土された道路(国道36号と旧国道)によって埋設河川になっていたことです。そして,団地造成の盛り土で両方の道路の間を連続して埋設河川にしています。

液状化した範囲は,まさに国道36号と旧国道の間の谷筋を盛り土したところでして,造成前航空写真で示される低地部(以後,「旧低地部」という)のところが液状化による沈下が激しかったところになっています。その中でも最も沈下したところがポプラ公園の北東側の辺りで,そこよりも上流側の旧低地部(南西方向)へと帯状に大きく沈下した範囲が繋がっています。ポプラ公園のところの断面図が盛り土範囲を示した図に示されていまして,それがA-A’断面ですが,この断面図で青点で示される西側から1つ目と2つ目の旧水路(旧三里川)に挟まれる旧低地部,つまり,最も盛り土が深かったところが最も液状化の影響を受けていることがわかります。

図06ポプラ公園の東西断面図

ここまでが,液状化の事実でして,そろそろ,「なぜこの場所が」というところを考えていきます。

誰しも疑うのは谷にあった河川を造成工事で谷を埋めるにあたってボックス化したことの影響です。これが大きく損傷を受けていて河川の水がこのあたりの地中内にどんどんと流れ込んで地中水位を高くしていたのではないかというものです。でも,管の損傷はなく三里川ボックスから地中へ流れ出たことは報告されていません(第1回技術検討会議事録2ページ)。

谷底にあった河川をボックス化したことで私が気になっているのは,河道の高さ(深さ)です。ボックス化にあたって元あった谷底の位置(その深さ)で河道を埋設したのではありません。ボックスはポプラ公園の西側の道路の地下に埋設したのですが,その場所は,ほとんど切り盛りのないところで,谷底の旧河川の位置からはかなり高くなっているところです。

図07三里川ボックス位置

断面図で書けば,

図08三里川ボックス断面図

となっていまして,もしもこのボックスに損傷があって水が流れ出していたとすれば造成した盛り土へと水を供給する役割をしていたものですけど,損傷はなかったとされています。ただ,ボックスの位置がこの位置ですから,旧低地部を盛り土したところにたまる地下水を排出することはできません。

盛り土部分の排水がどうなっていたかといいますと,図07で暗渠管が薄紫色で示されていまして,団地造成で盛り土したところをカバーするように配置して三里川ボックスの少し下流部へ流すようになっています。

原因を考えるうえでこの暗渠管の排水能力が適切だったのかが,とても気になります。地下水位の状況の資料があります。

図09地下水位の分布

これによれば,地下水位が急に低下しているところがあります。ここがまさに液状化した土が噴出したところで,その上流側が地下水位が高かったから液状化現象が生じたわけで,この地下水位が急に低下するところの少し上流側に地下水位をせき止める何かがあったことになります。この部分の断面も資料として示されています。

図10地下水断面図

この図は,液状化の激しかったところを断面図にしたものです。これによれば,まさに地下水位が急に低下したその先で液状化した土が噴出していて,その上流側(大規模に液状化したところ)の地下水位が高い状態に維持されていたことがわかります。そして,地下水位が急に低下しているところの地下にあるのが図の薄紫の「火山灰Dv」です。青線で記載されている地下水位の変化から見ても,この火山灰Dvが地下水をせき止めていたように見えます。では,この火山灰Dvとは何でしょうか。その上にある黄土色が団地造成による盛り土なのですけど,図の書き方からして造成前からあったものだと思われますが,造成前航空写真ではそのようなものは見えません。札幌市HPの資料では,これが造成によるものか元の地形にあったものかわかりませんし,地下水をせき止めるような透水性の低い土質だったのかも公開されていませんので,この点に関する私の考察もここまでとなります。でも,この断面図を見る限り,この火山灰Dvが地下水位を高めていたように見えます。そして,造成時に作られた暗渠管ですが,この断面図を見る限り,盛り土の地下水位を十分に低下させるだけの能力はなかったように見えます。(それが不適切だったといっているのではありません)

液状化を考えるにあたって,地下水位を下げることができれば,これが最も明快な解決方法となります。札幌市の検討会でもボーリング抗の水を抜いて周辺の水位を下げる検討がされています(第2回技術検討会)。これによると目覚ましい効果はなかったことが示されています。大規模に液状化したところですから地質は砂質土でして,それは同時に透水性の高い土ですから1か所のボーリング抗で水を抜けば周辺の水をどんどん吸収して全体の水位が低下するものです。でもそれが起きていないのだそうです。これは不思議なことです。里塚のこのあたりの盛り土は,液状化をさせる砂質土ではあるが,粘土成分もそこそこには含まれていて透水性が低い砂質土だったということが考えられます。

次の投稿へ続く

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