<2000年金物規定の木造住宅にも倒壊被害>
平成28年熊本地震で被害を受けた建物の中には,2000年に強化された木造規定で建築されたものも含まれていました。報道記事としては,
「被災者を苦しめる4号特例」(日経アーキテクチュアー)
があります。この記事は,木造建築の4号ものの確認申請にあたって添付図書が省略できてそのために適正な設計が行われなかったことの可能性を指摘するものです。今後,新基準で倒壊した建物の原因調査は行われるものと思います。
その原因として考えられるもののとしては,設計の不備,施工の不備などがあげられますが,私は,もうひとつ別のことを想定します。それは,
総2階である建物の1階の壁量が不足しているのでは?
です。上記報道の写真も総2階に近い建物です。その他にも,
で報道されたように,2階建て木造アパートは総2階です(写真の建物は2000年基準前のものと思います)。壁量を規定しているのは政令第46条第4項で,壁量は各階の床面積で規定されていますから,2階の面積が大きいか小さいかにかかわらず,1階の壁量は一定です。このことが,総2階の建物の1階の余力を低下させているように思います。
2階の面積によって,1階の壁量を変化させる規定が望ましいと考えます。そして,もうひとつ。床面積にならないベランダや玄関ポーチなどは壁量を算出する際の床面積に含めるべきと考えます。現在の規定では,内側に入り込む形の玄関ポーチでも屋外は屋外ですから壁量の床面積に考慮しません。でも,荷重としてはいくらも低減されていませんから,耐力上は不利側に作用します。
今後,調査結果が出されるでしょうからその中で議論されると思います。