姉歯事件,構造計算書偽装事件から10年が経ちました。
10年前の11月17日は,事件を国土交通省が発表した日です。
職能集団としての信頼性を傷つけるもので,その信頼回復にその後の長い時間を費やすことになりました。信頼回復のために出された法改正は,あまりにも厳密過ぎて,日本の経済活動を低下させるほどの影響を与えた,それほど抜本的な改正でした。
それを修正するために緩和の改正もありましたし,今年の6月には,確認申請を構造適合性判定申請を切り離す改正もありました。その意味で,偽装事件の対応処理は今も続いていると言っていいでしょう。
この10年間,建築の中にいる者として,私も取り組んできました。翻弄されてきたという面もありますが,決して翻弄されただけではありません。
事件を聞いたその日の夜から構造設計の勉強を始めました。それまで,断片的に構造の知識はありましたが,偽装設計ということが起こりうるものであり,それを見抜かねばならないとなると,習得しておくべき知識量が格段に違うからです。
あれから,10年が経ちましたか。構造。奥の深い世界です。少しずつは,今も取り組んでいます。信頼回復とはそういうことの積み重ねなんだと思います。