32年前の粗雑工事で和解

<32年前の粗雑工事で和解>

2月4日の地方新聞に,1980年に建設された建物の粗雑工事で工事をした建設会社と建築主との間で和解が成立したことが報道されています。

報道によれば,2012年にこの建物を耐震診断したところ,設計とは違う工事がしてあって,余計な耐震補強が必要になり,その補強工事分を請求していたもので,それについて和解が成立したそうです。

和解金額は公開されていませんからわかりませんが,建設会社が何割かは支払わないと成立しませんからそうなんだと思います。

違う工事とは,鉄骨の柱はり接合部の溶接方法が設計とは違っていたとされていて,その結果,強度が低下していたとなれば,はりフランジの溶接が完全溶け込み溶接でなければいけないところが隅肉溶接になっていたことが想定できます。でも,さすがに,そんなことはしないと思うのですけど,それ以外には思いつきません。

建設会社は,時効による損害賠償責任の消滅を主張していたようですが,最終的に和解を選択しています。

世の中は,30年も前に建設された建物の粗雑工事の責任が問われるんですね。怖いことです。

<参考>

建築物:広島市西区の㈱アスティの本社ビル

施工者:三井住友建設

裁判での請求金額:約3億7000万円(和解金額は報道されていない)

プレゼンテーション資料はWordPressで作るべき

<プレゼンテーション資料はWordPressで作るべき>

説明資料はパワーポイントなどのプレゼンテーションソフトで作ると思いますが,WordPressでホームページとして作った方が断然いいです。

プレゼンテーションソフトで資料を作って,当日,会場でスクリーンに映し出したら,文字が小さくて後ろの方の席からは読めなかったということがありますね。WordPressでホームページとして作れば,スクリーンに映し出す文字の大きさをその場で調整できるのでそれが回避できます。

会場の大きさやスクリーンの見えやすさは,当日会場に行かなければわからないことなので,見えやすいように文字を大きくしてプレゼン資料を作るのが一般的です。そのため,1枚のページにわずかな文書量しか入れずに作られているプレゼン資料もよく見かけます。プレゼン資料は,スクリーンに映し出すだけではなく,紙に印刷して参加者に配布される場合が多いですが,プレゼンテーションソフトで作ったページをそのまま印刷すると間延びしてしまうので,A4判の1ページに4枚とか8枚とかを印刷する場合が多いです。それでもページ間の隙間が多くて無駄な感じがします。

下は,WordPressで作った資料をスクリーンに映し出したものと紙に印刷して配布したものです。

<WordPressでプレゼン資料を作ることのメリット>

WordPressでプレゼン資料を作ることのメリットはいくつかあります。

1.画面を拡大できる

WordPressでページを作ってブラウザーでスクリーンに出せば,ページの拡大は自由にできます。

WordPressで作ったページは,画面の横幅を変えることなく,文字だけを大きくすることができます。しかも,拡大しても一つの文章を横幅に合わせて改行してくれるので,文書がくずれません。表の中に書いた文字も改行を調整して表の列幅まで自動で調整してくれます。

会場での見えやすさに応じてブラウザーの表示倍率を変えれば,自由に調整できるのです。

2.資料作成時に,内容をページごとに切らなくてもよい

資料を作るときに,1ページ目は何を入れて,2ページ目には何を入れて,という配分を考えますね。1ページにどれだけ入れられるかは,文字の大きさをいくらにするかで決定することで,文字の大きさは実は会場の状況を見なければわからないことです。ですので,一般的には大きめの文字サイズで作ることになります。

文字の大きさを決めて作り始めたときに,1ページで入ってほしかったものが,少しだけあふれてしまってページに入りきらない時ってありますね。逆に,2ページ目,3ページ目と作る中で,最後の3ページ目の文書量がちょっとしかなかったということもあります。4ページ目の内容を前倒ししようにも,4ページ目は別の内容であればそうはいきません。

WordPressでページを作れば,一連のものを下に下に加えていけばいいので,ページをどこで切るかを考える必要がありません。

私はプレゼン資料を作る時のページ割に迷ってしまうタイプなもので,これを心配せずに作れることは大きなメリットです。

3.資料間のリンクが自由にできる

プレゼンテーションソフトで作った資料は,連続するページに並べられます。これは,メリットではあると思いますが,資料全体の概要を示しているようなページ,つまり,章立てと概要を書いたページがあって,章ごとに説明しようとしたときに,第1章が終わって「次は第2章です」というときには一旦概要ページに戻らないといけないのですが,1ページ目に戻るわけにはいきませんから,第1章が終わったところにも冒頭の章立て・概要ページを入れておくのが一般的です。

これをWordPressでページを作れば,まず概要ページを説明して,第1章を説明するときには「第1章」のところをクリックすればそのページに行くことができ,第1章の説明が終わったらブラウザーの戻るボタンで概要ページに戻ることができます。そうして,概要ページを中心として,次の説明,次の説明へと続けていくことができます。

資料として外部のHPを使うこともあると思いますが,外部リンクができることもメリットです。外部リンクはプレゼンテーションソフトでもできることですが,プレゼンテーションソフトからブラウザーに切り替わってしまうので使いにくいです。

<デメリット>

デメリットもあります。

ホームページですから,ページを切り替えることはできても,プレゼンテーションソフトのように,文章や図形を1つずつ出したり消したりはできません。これは,私はデメリットだとは思わないわけで,説明にあわせて1文ずつ出していくやり方の方がやりすぎだと思っています。

ただ,課題と解決策とを順次出していくようなプレゼンでは,解決策の部分は伏せておかなければいけませんから,WordPressでは難しいです。

また,ホームページとして作りますから公開されます。内部資料の場合はそれぞれのページにパスワードを設定する必要があります。

<作成サンプル>

私が実際に作ったプレゼン資料はこれです。

建築関係事件事故後の対応とコンプライアンス

当日は,ブラウザーを300%にしてスクリーンに出しました。ページをめくるのではなく,スクロールさせて使います。次の資料へ行くときはクリックして進んで,戻るボタンで最初のページに戻ってという使い方です。

当日は,紙で打ち出したものも配りましたし,HPアドレスを伝えて,スマートフォンでも見ることができるようにしました。

当日,困ったのは,デザリングで利用しているスマートフォンの回線状況が悪くて,ページを開くのに時間がかかったことです。発表者自身のパソコンにもHPデータは入っていませんから,会場の電波状態が良好であることは条件になります。

「建築関連事件事故後の対応とコンプライアンス」というテーマで講師

<「建築関係事件事故後の対応とコンプライアンス」というテーマで講師>

広島県建築士会東広島支部の勉強会の「建研塾」で,「建築関係事件事故後の対応とコンプライアンス」というテーマで講師を務めました。

日時:2017年1月28日(土)10時半から12時まで

場所:下見福祉会館

内容は,地震などの災害と事件事故の度に強化され続けてきた建築基準法の歴史とともに,事件・事故に対してどのように対応したかを紹介して,建築士の説明責任や法令順守について考えるものでした。

取り上げた事件・事故は,

・2005年の構造計算書偽装事件

・2015年のマンション杭未到達事件

・2003年の朱鷺メッセ連絡橋崩落事件

の3つです。

この中で,構造計算書偽装事件は激震でした。不適切な設計をした個人の問題のみではなく,建築業界全体の信用回復が課題となって,そのための法改正があまりにも厳格化しすぎて国全体の経済活動を停滞させるほどの影響を与えました。私自身も事件後,構造設計を真剣に取り組みましたので,そうしたことを含めて話しました。

説明に使った資料は,〈建築関係事件事故後の対応とコンプライアンス〉です。